同窓生へのお知らせ
本学歯学部の現況報告
歯学部長 大久保力廣
鶴見大学歯学部同窓生の先生方,平素たいへんお世話になっております.
例年の歯科医師国家試験ではご期待に沿うような成果を挙げられず,ご迷惑をおかけしておりますが,現在,本学歯学部で行なっている教育改革の現況を報告させていただきます.
① カリキュラムの大幅変更
3年前より,従来の1科目14週の講義,実習からなる従来型カリキュラムを,1日2コマ開講する7週完結型とし,従来の前期後期の2期制から,前1,2期,後1〜3期の5期構成としました.短期集中的に学生に理解,記憶させるとともに,1期ごとの授業科目数を減少させて,試験科目数の削減による学生の負担軽減を図るとともに,最終5期には1年間の総復習とも言える総合歯科医学講義を行い,知識の整理と定着を目指しています.現在,新カリキュラムが進行している最高学年は4年生であり,今冬の共用試験の成績に期待しているところです.
② MCQ形式試験の実施
共用試験CBTや国家試験と同様に,定期試験や総合歯科医学試験は全てMCQ形式の5者択一問題とし,進級や卒業判定を客観的に行うこととしています.各期の定期試験も本試験と再試験だけでなく,総合歯科医学試験に合格した学生には未修得科目試験として3回目の試験を用意し,できるだけ原級に留まらないよう配慮しています.
③ 講義のビデオ録画
全ての講義をビデオ録画し,欠席した学生にはビデオ視聴とその後の口頭試問を義務付けています.もちろん講義に出席していても,理解できなかった学生にはビデオ視聴による復習を推奨しています.コロナ禍の中で,本ビデオ配信システムを遠隔授業や自宅学習にも利用しています.
④ ICT技術を活用した講義
共用試験CBTや国家試験のために学生一人一人がコンピューターやiPadを利用して本学の学習支援ツールを用いた講義や模擬試験を実施しております.3号館に情報処理演習室を設置し,1年生のプレイスメントテスト,定期試験から卒業試験(総合歯科医学Ⅵ試験)まで全ての試験をコンピュータベースドで実施できるようにしました.
⑤ 大講座制の導入
従来の講座主体の縦割り教育体制を見なおし,大講座制の導入による各科目の連携強化を進めています.また,2年前に歯科医学教育学講座(近藤壽郎客員教授)を新設し,1年次から医療人としての態度教育に加え,基礎と臨床科目を連携させたシームレスな教育に努めています.
⑥ 診療参加型臨床実習のスリム化
従来の5年次における臨床実習をスリム化すると同時に,総合歯科医学Ⅴ講義を強化し,CBT受験時に身につけた知識を国家試験に繋げるようにしました.少しでも国家試験合格率を向上させるために教職員が一丸となって,”Student First”を合言葉に学生教育を行なっています.
⑦ 学生指導の強化
各学年に学年主任と学生5~8名を担当する担任を配置して,年度はじめと各期の終了後には定期試験結果をもとに個別面談を実施し,きめ細やかな学習指導,生活指導を行っています.さらに学年別学生会議を定期的に実施し,出席や成績データをもとに夏期および冬季休暇中の課題提出による指導も協議しています.また,全教員がオフィスアワーを設定し,学生がいつでも相談できる窓口を開設しております.
⑧ 同窓会と連携した既卒生対策
本学の卒業生で国家試験に合格していない既卒生に対して,既卒生対策委員会を設置して定期的に既卒生対策を協議し,同窓会と連携させていただきながら,自習室の開放,特別講義の実施や資料の配布等を実施し,合格率の向上を目指した学習支援を行っています.
周知のように第107回歯科医師国家試験から,合格者数が全体で大きく削減されました.その時から,臨床実習に主軸を置いていた本学の成績は低迷し,今回も新卒64.5%(私立17校中14位),既卒41.1%(17校中5位),総数50.3%(17校中13位)と非常に厳しい結果となっています.まだまだ道半ばではございますが,上記のようなカリキュラム改革を実施し,歯学教育の抜本的な立て直しを図っておりますので,先生方のご子弟やお知り合いに歯学部希望の受験生がおりましたら,ぜひ本学への入学をお薦めいただければ幸いです.
本学歯学部は1970年に創立されましたので,2020年に創立50周年を迎えましたが,感染拡大の影響から延期を余儀なくされ,今年(2022年)11月20日に創立50周年記念式典を本学記念ホールにて挙行する予定です.全ての同窓生や大学関係者が心から50周年を祝福できますよう,確かな教育実績を築き上げていきたいと誓いを新たにしているところです.
新型コロナウイルスの影響で,先行きの見えない不安もありますが,歯学教育は低下しないよう,感染対策には十分に配慮しながら全学年で対面授業を実施しております.同窓の先生方におかれましても,ご自愛下さいますようお祈り申し上げます.